ごあいさつ

KURAKINは2008年に生まれた、「のこり染」布を使った暮らしの布製品です。

「のこり染」を行っている株式会社艶金は、布地染色加工を継続し、2019年に創業130年を迎えました。

1889年創業時の写真です。

直径60cmの、花こう岩の上部を中高に丸く磨き上げられたものに織物を畳んだ状態でのせて、右手で木づちを持ち、2人の職人が差し向かいで唄に合わせて交互に木づちで叩いて万遍なく艶を出しています。

私が(現在の株式会社艶金社長 墨勇志)艶金に入社した1990年ごろから円高の進行、アジア地域の繊維産業発展、世界最適地生産の振興により、国内生産(糸つくりから織編・染色・縫製)は壊滅的に減少しました。

繊維生地を使った日本でのものづくり、当社でのものづくりに新しい価値観を模索していた2008年「のこり染」は生まれました。優しい色合いが好きで、それを活かせるシンプルなデザイン、丁寧な縫製に徹しています。

この文章を書いている2020年は、温暖化が地球全体の問題になってきたり、自然災害が毎年のように発生しています。人類は予想できないような災いがあるたびに、価値観を変えてきた歴史があります。

「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という論語がありますが、人が暮らしていくのに必要な衣食住は、極力自分たちの近くで、目に見える場所で、必要な量だけ作る、あわよくば自分で作るこのシンプルな生活を見直したいです。

株式会社艶金は、脱炭素経営を経営の最優先課題とし、みなにもったいないという想いやゴミを減らしたいという想いを共有してもらいたくて、のこり染生地を使用したKURAKIN製品を作り続けます。

私たちができることはわずかですが、染色が大好きな職人がいて、でも未だに難しくて完璧でない、「のこり染」に携わることができることに感謝しています。

2020年4月 株式会社艶金 代表取締役 墨 勇志